トップ画像3月7日2013年3月7日発売
PS VITA『ソウルサクリファイス』
ゲームレビュー
親父・正面(笑顔)


よし。
諭吉を生贄にして、『ソウルサクリファイス』を購入してきたぞ! 

僕・正面(おい!)


福沢先生に謝れ!

親父・横顔(にたっ)


そして尊い犠牲のもと、購入したのがこのPS VITAの『ソウルサクリファイス・ダブルパック』!

IMG_2768
親父・正面(きらーん)


製品版中身は同じだが、2本入りで7980円。
通常版が1本5980円なのに大して、このダブルパックで購入すると1本あたり3990円。
圧倒的にお買い得だ! 

僕(えー笑)


最初っからベスト版の価格・・・購入するなら、なんとしてでも友達を誘って購入した方がお買い得だね。

親父・正面(にやけ顔)


このゲームは、カプコンを退社した稲船さんが手がけたハンティングアクションゲームとうことで話題になったな。 

僕(普通)


倒した敵を、生贄にするか、救済するか・・・。
常に選択することで攻略していく異色のハンティングアクションだね!

親父・横顔(ほー)


とりあえず、俺たちは体験版を進めてたから、途中からのプレイになるんだよな。

僕・正面(通常)


そうだね。
体験版で獲得した魔法を使うためのアイテム「供物」は数量制限付きで。腕のレベルと、シナリオの進行度はそのままの形で引き継げるらしいよ♪

親父・正面(にやけ顔)


じゃあ、さっそくプレイしてみるか!

1full_20120510172813
僕・正面(ほえ?)


相変わらず、グラフィック綺麗だね!!

親父・横顔(むっつり)


グラフィックもそうだが、何と言っても音楽だろ!
この豪華で高揚感のある音楽・・・力入れ過ぎだ。 

親父・正面(あきれ顔)


まずは、目障りなザコを一掃だな。

僕(ニコッ)


弱点の属性で狙ったり、カウンターを狙ったりしていけば、効率よく攻撃していけるんだよね。

親父・横顔(通常)


ああ。
基本連打かと思いきや、あんがい奥の深いアクションで驚きだ。
敵に吹っ飛ばされたときもタイミングよくボタンを入力すれば「受け身」をとれて、復帰が早くなったりもする。
練習すれば練習するだけ、効率の良い攻撃を繰り出していけるってことだな。 

015
僕・正面(慎重)


どんなザコでも、倒すと「生贄」にするか「救済」するか選べるんだよね。 

親父・正面(あきれ顔)


システム的な話になると、救済すると体力が回復して、生贄にすると魔法を繰り出すための道具「供物」の仕様回数が増える。
どちらを選択するかは、状況によりけりになるかもしれねぇな。 

僕(普通)


さらに、救済ばかりしていると左上に設置されてる右腕の「生命LVゲージ」が上がって、生贄ばかりしていると「魔力LVゲージ」が上がるんだよね!

親父・横顔(にたっ)


ああ。
生命レベルは、体力と防御力を。
魔力レベルは、攻撃力を司っている。
どのようにレベルを割り振っていくかで、プレイヤーの性格が出るよな! 

親父・正面(にた笑)


・・・ま!
俺は断然、魔レベル極振りだけどな! 
防御力なんて、攻撃を全部回避すれば関係ねー!! 

僕(むっ)


・・・僕は、ゴリ押しでもプレイできるように生命力あげるけどね。
どうせ、ほとんどのミッションに時間制限がないんだし・・・のんびり狩ればいいじゃん。 

僕・正面(にたぁ)


他にも、自分の体の一部を代償に大魔法を使う「禁術」システムとか、瀕死の仲間を生贄にする「グングニル」とか・・・
いろんなシステムがあるんだよね! 

親父・横顔(通常)


それがまた、どのシステムもバランスがよくて面白いんだよな!
どのタイミングで禁術を使い、どのタイミングで仲間を生贄にするか・・・仲間とコミュニケーションを取るのが楽しいよな!

僕・正面(通常)


うん・・・コミュニケーション。大事だよね。

親父・正面(横目)


・・・。

僕(えー)


・・・。
(←体験版の段階で、既に親父とギクシャク済み)

014
親父・横顔(にたっ)


いよいよボス戦だぜ!!

僕・正面(うるうる)


おー。
相変わらず、親父は頭を使わないアクションだけは得意だねー。 

親父・正面(乱心)


ばっかやろ。
結構頭使うんだぞ! 

親父・横顔(むっ)


相手の弱点を考えなきゃいけないし。
1つのマップでの使用回数が限られている「供物」のペース配分も考えなきゃならん。

親父・横顔(疑い)


それに、戦闘中のドサクサに紛れて死んだ魔物を、仲間より早く回収する方法も考えなきゃならんし。
それに、敵の攻撃をいかに仲間に押し付けるかも考えなきゃならん。
戦闘中は考えること、いっぱいなんだよ! 

僕・正面(じと目)


最後の方・・・清々しいほどダメ人間・・・。

001
僕(えー笑)


でも、確かにただのアクションゲームに収まらずに、頭を使う部分が多いのは面白いよね。
ユーザーは、直感的に戦況を判断して、救済するか生贄にするか、常に選択し続けなきゃならないし。
難易度も高いマップが多いから、仲間の気遣いもしなきゃいけないしね!

親父・正面(通常)


そうだな。
仲間の気遣い。大事だよな。
死にそうな仲間の後ろを尾行して、倒れたら真っ先に生贄にできるように、万全の準備を整えて・・・ 

僕・正面(死に顔)


・・・最悪じゃん。
もう、親父・・・死神じゃん。 

ハニー正面(青ざめ)


きゃーーー!!
台所にゴキーーーーッ!!! 

親父・横顔(むっ)


生贄か・・・救済か・・・

僕・正面(しら~)


やはり終盤のことを考えると、ここは救済・・・

ハニー正面(おい!)


いいから、殺せーーーーッ!!






【ソウルサクリファイス】

SCEが2013年3月7日にPS VITA向けに発売した『ソウルサクリファイス』。
手がけたのはカプコンを退社した稲船敬二。開発元はSCEジャパンスタジオとマーベラスAQLである。
ジャンルはハンティングアクションで、インターネット通信、もしくはアドホック通信を用いることで1〜4人まで遊ぶことができる。

パッケージ版が5980円。DL版が4900円。また、同じパッケージが2つ入った「ダブルパック」が7980円で。オリジナルデザインの本体が同梱された「プレミアムエディション」が27500円で発売されている。

物語は牢屋の中から始まる。
大魔法使いの「マーリン」に捕えられ、生贄に捧げられる順番を待っている主人公は、喋る日記「リブロム」と出会う。
リブロムには「ある魔法使い」の生い立ちが書かれており、その日記の内容を追体験していくところからゲームが始まる。


演出



演出はすばらしいの一言につきる。

いわゆるハンティングアクションゲームではストーリーはおまけとして扱われがちであるが、本作ではストーリーが圧倒的な存在感を放っている。
裏設定の記述などを除く、文字のすべてがフルボイス。
二転三転し、先の見えない緊張感のある展開。
謎が多い物語ながらも、最終的には全てのパズルのピースがしっかりとハマる、シナリオそのものの完成度。あらゆる点で他のゲームを凌駕する、完成度の高い物語である。
ゲームのテンポを崩さないよう、物語は細切れに短いものが沢山仕込まれている配慮もすばらしい。

本作は「リブロム」と呼ばれる喋る本を読み、書き手の過去を追体験をしていくというゲームであり、物語の展開も日記調に書かれた文字を朗読していくというものになっている。
この「本を読む」という設定は 雰囲気作りのみならず、ページを戻すことによって、いつでも過去のログが見れたり、間違えてスキップしてしまった音声をもう一度聞くことができたりと、機能的な一面も持つ。

またシナリオはときおり、戦闘で魔物を「救済するか」「生贄にするか」で分岐をする。
ユーザーがとった決断で、物語の展開が変わっていくのは面白い要素。
またそれにおいて他のゲームと違うのは、選択し物語の続きを読んだ後でも、再度魔物を倒し選択しなおせば違った物語の展開を楽しむことができるということ。
シナリオをコンプリートするためにセーブデータを大量に作る必要がなく、このゲームをやり込みたいと思える一因となっている。

非常に完成度が高く 満足のいくシナリオであるが、あえて不満点をあげるとすれば、かなり重たい物語であるということ。
耐性のない人に取っては胃もたれを起こすかもしれないがゆえ、評価にバラつきが出てしまうかもしれないが、最終的な落ちどころが巧く余韻を楽しむことのできるシナリオは、多くの人が高い評価を示すはずである。

そしてもう1つの不満点が、物語と戦闘をつなぐ接着が、弱い部分があるということ。
本作は、物語→戦闘→物語→戦闘→物語という順でゲームが進行する。
推測ではあるが、1つの長い物語を作り、それをブツ切りにして戦闘と組み合わせているため、不明瞭な理由で戦闘が行われる部分がある。
あくまでも「そういう部分がある」というだけなので、ほとんどないのだが、物語の完成度が高すぎるが故、逆にそういった点が目立ってしまうのが残念。

演出に関しては、世界観もすばらしい。
シナリオのみならず、音楽、映像、効果音、キャラクター。様々な要素が1つの世界観を作り上げており、魔法を使うという架空の物語りながら、匂いまで伝わってきそうなリアリティーのある世界観を作り上げている。
「リブロム」の本には、戦闘の舞台となるマップの設定や、敵が魔物になった詳しい生い立ちまで徹底的に書かれており、裏設定の細かさに感服する。
また凄いのが、その1つ1つの設定が 起承転結で1つの短いストーリーに仕上がっていること。戦闘に疲れてきたときに読むと、ちょっと敵に同情してしまったりする。


オリジナリティ



明らかに『モンスターハンター』を意識して作ってはあるものの、最終的に出来上がった作品は『モンスターハンター』とは全く違う遊びを提供している。

本作は『モンスターハンター』と何が違うのか、と聞かれると困ってしまう。
ほとんど違うゲームであるが故、違う部分をあげていくとキリがない。
逆に同じ部分は、最大4人プレイで1つの大きな敵に向かって戦闘挑むということ。あとは、敵のモーションがどことなくモンハンっぽいという点くらいであろうか。
体力ゲージが細い横棒であったり、動きが少しモッさりしていたりと、なんとなく同じ雰囲気を醸し出してはいるが、実際にプレイしてみるとその全く違うゲーム性に驚くはず。

本作は全て魔法で攻撃することになっている。
魔法とはいうものの、手を巨大化させて殴りまくる「剛腕」、地面から突起を出して突き上げ攻撃をする「隆起 」、ゴーレムを作り出す「召喚」、岩などを身にまとい体当たりをする「突進」など、様々な魔法が存在し、それぞれに火、氷、毒などの属性がついていたりもする。
その魔法を使うためには『供物』と呼ばれる触媒を装備する必要があり、1つのマップでの使用回数が限られている。使用回数を下回ってクリアーすれば、戦闘終了時に使用回数がリセットされるのだが、使用回数を超えてしまうと「供物」は壊れてしまい「リブロムの涙」を使用し回復させなければ、その後使うことはできない。

このゲームの重要な鍵となる「供物」は、1回の戦闘に6個装備することが可能。
100以上ある「供物」の組み合わせ方は自由で、組み合わせ次第で様々な戦い方をすることができる。
一見役に立たなさそうな「供物」でも、敵によっては強力な攻撃となったり、仲間と魔法の役割分担ををすることによって、普通では与えられない大ダメージを与えることができたりと、経験とヒラメキによって自分なりの必殺パターンを考えるのは非常に楽しい。
セットした「供物」はマイセットとして登録することが可能。属性によって様々なセットを作ってみたり、「対ケロベロス戦セット」などといった相手によってセットを組むのも楽しいかもしれない。ちなみにマイセットは漢字も含めた名前をつけることが可能。細かい点ではあるが、整理がしやすいのでありがたい。

また、仲間への攻撃はダメージを受けないのだが、派手は魔法を使うと仲間が吹っ飛んで迷惑をかけてしまう。そこのところの配慮でも性格が出て面白い。
「供物」の装備の組み合わせにより、様々な点でプレイヤーの個性が出るように作られている。

この「供物」はミッションをクリアーすると手に入る。
どのような供物が手に入るかは事前に記されており、ミッションの評価によって得られる数が違う。
例えば獲得できるアイテムの欄に...
氷獄樹の根
雪狼の喉笛
鉄針竜の卵(大)
と書かれていた場合、最大の評価「伝説の魔法使い」の称号を獲得すれば、必ず全て手に入る。
しかしながら「三流の魔法使い」などの称号でクリアーとなれば、「氷獄樹の根」のみしか手に入らないことになる。

ハンティングアクションでは手に入る素材は運で変わるという風習のようなものがあったため、初めてこのシステムを見たときは戸惑った。
しかしながら、今までのハンティングアクションでは難易度の高いマップにおいてはそもそも運要素の強い状態で戦いをしているのにもかかわらず、さらに報酬も運で決まってしまっては釈然としない部分があったのも事実。
それはそれで射幸心を煽り楽しいのではあるが、本作のように戦いの評価によって正当に報酬を得るのも悪くないと感じた。
このシステムのおかげで、ただひたすら同じミッションで敵を倒すという作業から解放され、同じミッションをより上手に、より評価が高くなるようにという向上心を持って戦闘をすることができるようになった。これは他のハンティングゲームでも取り入れもいいかもしれない。

非常に楽しいオリジナルシステムではあるが、細かいところで残念な部分もある。
1つは欲しい「供物」があるとき、どのミッションで獲得できるのか、総当たりか暗記に頼るほかないという点。もしくは攻略サイトを見るしかないので、欲しい供物がどのミッションで手に入るのか、逆引きができるシステムは欲しい。

気になる部分の2つ目は、上位の「供物」が手に入ると、今まで使っていた下位の「供物」は、ほとんど用なしになってしまうという点。
今までのハンティングアクションゲームでは、いくつもの素材を組み合わせることによって武器を作り出してきた。
しかしながら本作は、素材そのものが武器であり、それが「供物」である。
上位の「供物」は、あらゆる点で下位種のステータスを上回っているため、一度手に入ってしまうと使用する機会がなくなってしまう。運良く「供物」の合成で使うことにならなければ、おそらく二度と使われることはない。
せっかくの長く使ってきた「供物」も、上位種が手に入ってしまった瞬間ゴミになってしまうのは、あまりにも残念なので、「リブロムの涙」に換金したりするなど何かしらの利用方法が欲しいところ。


本作の一番のオリジナリティと言っても過言ではないのが「救済」と「生贄」による選択である。
これが、本作の核となるシステムであり、このシステムがこのゲームのオリジナリティを底上げしている。

会話文にもあったように、ボスやザコ敵などを「生贄」にすると、「魔力LV」が上昇し攻撃力のステータスが上昇する。戦闘に限ってみれば「供物」の使用回数が少しだけ回復する。
また、ボスやザコ敵を「救済」すると、「生命力LV」が上昇し 体力の上限と防御力が上昇する。戦闘では少しだけ体力回復になる。
本作では、敵を倒して生贄か救済を選ぶという行為を常に続けることになる。
また、敵のみならず味方が倒れた際も「救済」するか「生贄」にするか選択する必要がある。
自分の体力を半分わけ与えて「救済」するか、戦闘には参加できなるが「生贄」にして大魔法を使うか。この選択がプレイヤー同士のリアルでの会話を盛り上げてくれる。
顔と顔を突き合わせてアドホック通信で対戦をした際には、盛り上がること間違いなし!

「生贄」「救済」の選択は、時には物語の展開にも関係し、また装備可能なステータス上昇アイテムも変化。最終的には主人公の姿にまで変化が起こる。
キャラクターの個性が、日頃のプレイスタイルによって変化するというのは非常に面白く、深みのあるシステムになっている。

また戦闘中、重要なものを光らせてくれる「心眼」というシステムが便利。
十字ボタンの下ボタンを押すと心眼モードになり、画面が暗くなる。そのとき、マップに隠されているアイテムや、敵キャラの位置を光りで教えてくれる。
心眼モードのまま戦闘することはできないのだが、心眼モードを使えば、敵・味方のおおよその体力や、死にかけた仲間の位置などを色で教えてくれる。
このシステムは非常に機能的で素晴らしいアイデア。


グラフィック



グラフィックは携帯機とは思えない、圧巻のグラフィック。
非常に丁寧に作り込まれている。

とりわけ敵のテクスチャーに関してては、徹底的に描き込まれており、かなり近くまで近づいても荒さが目立たない。接近戦にもしっかり耐えうるグラフィックに仕上がっている。

攻撃のエフェクトも派手で良い。
爽快感のあるエフェクトが多く、プレイしていて小気味良い。

さらにマップの大きさには圧巻である。
マップは大小さまざま用意されているが、最大サイズのものなると、モンスターハンターの細切れになっているマップを、すべて1つに集約したかのような大きなマップも存在する。
本作にマップ移動は存在しないが、この大きさのマップがあれば十分である。

逆に少し残念なのは地面のテクスチャー。
基本的に平らなマップが続き、のっぺりした印象を持つ。また、素早いカメラワークの際にはテクスチャーの読み込み時間に一瞬モザイクがかかったようになってしまうことも。
言われないと気がつかないレベルではあるが、地面のテクスチャーに関してはもう少し力を入れてもよかったように思える。

敵キャラのキャラクターデザインに関しては、好みの分かれそうである。
グロテスクなキャラクターは存在しないが、いわゆる「キモい」キャラクターが多い。
個人的には、キモいながらも愛嬌のあるキャラクターのように感じるため、世界観丸ごと好きになれたが、どうしても生理的に無理という人も中には存在するやも。
まずは体験版をプレイしてみて、好きになれるか試してみるのもいいかもしれない。
体験版の終盤に出てくる「ハーピィ」以上にキモいキャラは存在しないので、あれが一つの試金石だろうか。

そして、残念なのはキャラクターの成長の個性がビジュアルに反映されにくいという点。
他のハンティングアクションゲームでは、装備を強化したり変更する事により、見た目に個性が出る。
しかしながら、本作では変化するのは右腕の形だけ。極端に腕のレベルを振り分けると大きく変化するという噂があるのだが、そこの段階に行く人はほとんどいないはず。
育て方によってプレイキャラの姿が変化してくれると、プレイヤー顕示欲を刺激できたように思える。


サウンド


サウンドはすばらしい。
文句のつけどころがないように思える。

「AFRIKA」や「バイオハザード5」などの楽曲を手がけた鋒山亘さんと、「クロノ・クロス」や「マリオパーティ」などの楽曲を手がけた 光田康典さんのタッグは素晴らしく、身震いするほどの楽曲が沢山収録されている。

演奏は「スターウォーズ」シリーズの楽曲などを手がけるスカイウォーカー・シンフォニー・オーケストラが担当。オーケストラ100人、コーラス20人という大所帯による演奏は、息をのむ迫力。
世界観構成の一翼を担う・・・というよりも、世界観の中心に楽曲があるといっても過言ではない。

おどろおどろしくミステリアスな楽曲もあれば、ケルベロス戦など、交感神経を直接刺激するような緊張感のある楽曲も存在する。あのコーラスは反則である。

ただ、あえて言うなら耳に残るテーマソングのようなものは欲しかった。
ゲームを起動したときに、タイトルのロゴだけというのは少し寂しい。もう少し始まる前のワクワク感への演出に配慮があると良かったように思う。
ミシュラン3つ星のレストランの、おしぼりの温度にケチをつけるような罪深いレビューである。

また声優の熱演にも注目である。
スタッフロールが英語だったため、いったいどの役者さんが何を演じているのかは分からなかったが、とにかく演技力が凄い。「リブロム」や「マーリン」。ナレーターの熱演も素晴らしく、ネタバレになるため あまり深く言及はできないが、いくつか用意されている主人公の声の演技力も素晴らしかった。
サブシナリオに用意されている4人のキャラクターの演技も凄まじいものがある。役者の演技に関しては純粋に評価したい。


操作性



操作性は良いか悪いかと言われれば良い。
たしかにPS VITAに最適化されて非常に使いやすくはあるのだが、課題も多く残されているのも事実であった。

とにかくアナログスティックが2つ付いているのは操作がしやすい。
普通のアクションゲームと同じようにプレイできるのが嬉しいところ。
しかしながら、ダッシュが×ボタンに設定されているため、×ボタンと右アナログスティックを同時に押すことは難しく、ダッシュしながらカメラの操作を行う際はLボタンのカメラリセットを上手に使わなければならない。この操作に慣れ必要で、不満点の1つとなってしまっている。
ダッシュしながら右アナログスティックを使えると嬉しかった。

ちなみに、「モンスターハンター ポータブル」と同じように、右アナログスティックを使わず十字ボタンでカメラを操作することも可能なため、いわゆる「モンハン持ち」に慣れてしまった人は設定を変更してもいいかもしれない。

また、操作性で気になった部分は他にもある。
かなり大きなマップが沢山登場するのだが、ミニマップが表示されないという点だ。
探索するミッションも沢山用意されているのにも関わらず、自分の現在地がどこなのか分からないのは、少々しんどい。
ただ、今後のアップデートで搭載されるとのことなので、早めのアップデートを待ちたい。

そして細かい部分ではあるが、アイテムの整理に改良の余地がある。
手に入った「供物」や仲間などは、自動的に整理されてソートされるのだが、その整理が自動すぎて、どれがお気に入りだったのか分かりにくくなることがある。
とりわけ仲間の整理は難しく、沢山増えていく仲間を名前だけで覚えていくことは不可能に近く、顔は似顔絵的な記述しかないうえ似顔絵と実際のモデリングにかなりの差があるので、顔で覚えることも困難。
どの仲間が どの場面で出会ったキャラクターなのか、分かりやすく整理してくれると助かる。

悪い点ばかりあげたが、良い点もある。
メニュー周りの操作に関しては、体験版から徹底的にブラッシュアップされており、タッチとボタン操作。どちらでも操作ができるように改良されている。
基本的にボタン操作で十分なのだが、「供物の操作」などはタッチで直感的な操作したほうが分かりやすいこともある。自分の好きなときに好きな方法で操作できるというのは便利。
PS VITAでの操作のお手本的なメニューに仕上がっている。

また、「リブロム」の本をめくり物語を読み進めていくという一見変わったメニューも魅力的。
慣れてくれば直感的にプレイができるうえ、前後のページにもフリック操作で簡単にアクセス可能。
自分が、今どれぐらい読み進めているのか。残りどのくらいのページ量が残されているかなども分かり、ゲーム上の演出だけには収まらない、機能性も兼ね備えたメニューになっている。

ロード時間は短い。
ミッションを選択すると、マップのロード時間が5秒ほど入るが、それ以外でのロードは一切ない。
また、ロード中はチュートリアルやシナリオの補足などが入るため退屈はしない。

チュートリアルは不親切というわけではないが、あっさりめ。
文字での説明は最小限に抑えてあり、実際にプレイして感覚をつかんでもらうという意図が伺える。
序盤は本当に簡単なマップから入るため、アクションゲームを少しでもプレイした事がある人ならば、簡単に上達する事ができるはず。


満足度



素晴らしいという言葉では不足している。
奥深いアクション。
常にユーザーに二択を迫ることによって得られる、新しい形の自由度。
高難易度ながら、敵に何度も挑むことによって得られる一筋の光明。
そして、徹底して磨き上げられたリスクと効果のバランス。
様々な要素が「生贄の救済」「欲望と代償」という言葉で繋がれており、全てのゲームシステムが絶妙にからみあって、今までプレイしたことのない駆け引きが楽しめるハンティングアクションに仕上がっている。

ゲームのシステム的な話をするならば、これまでのレビューでたびたび登場した「リブロムの涙」という要素が全てのシステムを繋ぎ止める役割をしている。
ミッションをクリアーするごとに得られるこの「リブロムの涙」と呼ばれるポイントを使うことにより、壊れた「供物」を修復したり、死んだり離別した仲間を蘇らせたり、禁術を使うことで支払った代償を取り戻すことができる。
お金で買うことができない、この「リブロムの涙」はまさに本作のテーマの「欲望と代償」の体現で、戦闘で欲を出しすぎると大量の「リブロムの涙」を使う羽目になってしまうという、言わば欲望のプールのようなシステム。
「リブロムの涙」を切らさぬように、でもなるべく効率的に戦闘ができるように・・・その心の中の葛藤と駆け引きが非常に楽しい。

また、本作はソロプレイでも十分楽しむことができるのが他のハンティングアクションとは大きな違い。
メインシナリオとサブシナリオは ソロプレイのみでの戦いとなり、「アヴァロンの要請録」と呼ばれるミッション集は、マルチプレイのみならず、他のシナリオで手に入れた仲間を2人引き連れてソロプレイを楽しむこともできる。

このとき引き連れていくことができる、仲間のAIが優れているのも本作の大きな特徴。
ただの囮役ではなく、しっかりと戦闘に参加し攻撃に加わってくれる。体力が少なくなれば回復魔法を使ったり、回復魔法を装備していない場合は自らの判断でザコを倒し「救済」することで体力を回復したいるする。
また、AIには性格があり、積極的に「生贄」にキャラもいれば、「生贄」を嫌い「救済」ばかりするキャラもいる。プレイヤーが倒したザコキャラを自分のものだと勝手に使ってしまうキャラもいれば、「お前の好きにしろ」という台詞とともに譲ってくれるキャラもいたりして、非常に面白い。
プレイヤーと反りが合わない場合は、信頼度が下がり、最悪の場合離別してしまう。
逆に馬が合えば、信頼度が上がる。信頼度が上がるとともに装備している供物も強力なものになっていくため、キャラクターを育成することが可能である。
このキャラクターの育成なんかもやり込み要素の1つ。
可愛い声のキャラクターばかりの信頼度を上げたくなるのは、自分だけであろうか。

ソロプレイも楽しいが、もちろんマルチプレイも非常に楽しい。
インターネット回線を利用することにより、離れた場所に住んでいる人とも共闘できるのが大きな特徴の1つでもある。

マルチ対戦の時に強力な威力を発揮する「供物」があったり、瀕死の仲間を「生贄」にするか「救済」するか選べたりと、嫌でも白熱するような仕掛けが沢山施されている。

ルームや戦闘中のコミュニケーションツールも豊富に用意されており、離れた場所にいる相手とも、スムーズに意思疎通ができるようになっているのも嬉しい。
ルームの中では定型文の他、キーボードによるメッセージ送信も可能。戦闘中はタッチとボタン操作で、直感的にメッセージを送ることが可能である。

マルチプレイの改良点をあげるならば、ルームに4人しか入れないというところ。
そして、ルームのソートができないというところである。
ハードのスペックの限界もあるのかもしれないが、できることなら1つのサーバーに100人くらいの人が集まって、その中で同じミッションを受けたい人が集まれるような環境を作ってほしかった。
そして、ルームは自らルームを製作するか、検索するかクイック検索をするしか入室する術がないのは分かりづらい。
どのような部屋があるのか一覧表をソートしてくれるとありがたかった。

マルチプレイのシステム上に若干不満を残すものの、ゲームとしての完成度は神がかっている。
ボリュームは満点。やり込みども抜群。スタイリッシュなシステムと分かりやすいコンセプト。
「荒削り」と表現する人も中にはいるかもしれないが、荒削りなのではなく、削るところを意志を持ってしっかり削った結果であるように感じた。
鋭利にトガッた刃物のような、鋭い切れ味を持った作品に仕上がっている。


総評



あらゆる点で完成度の高く、ハンティングアクションの新たな活路を見出した作品。

いわゆるハンティングアクションは
繰り返し作業になりやすかったり、シナリオがおまけだったり、ロードが頻繁にあったりと、そのゲームジャンルの性質上、目をつぶるしかなかった不満点が多すぎた。
しかしながら、不要と思われる要素を徹底的に削ぎ落し、核となる部分を再構成し直すことによって、今までとは全く違う遊びを提供してくれる、ストレスフリーのハンティングアクションを作り直す事に成功したように思える。

さらに本作で特出しているのがバランスの良さである。
欲望には代償が必要という本作のコンセプト通り、強い技にはそれなりの代償が必要であり、その代償をどの段階で受け入れるか。どの程度の代償まで受け入れられるのか。戦闘中 常に考える必要がある。
また、本作は戦闘の評価に応じて正統な報酬がもらえるものの、戦闘そのものには運の要素が入り込む余地が与えられている。「供物」が壊れるタイミングもある程度決まってはいるが正確に数値が決まっているわけではなく、最後の一発しか残っていないと思いきや まだ使えたり、まだ使えると信じていたら早々に壊れてしまったりと、運の良さで戦闘の成否が決まる事もしばしば。戦闘のギリギリの戦いを強いられているが故、
この”のりしろ”のような運要素のおかげで、おもわず声が上がってしまうほど盛り上がる。

そして、本作はプレイヤーに常に選択を強いることにより戦闘に緊張感を与えている。そしてその選択が積もり積もるとステータスや姿に大きな変化を起こすというのも面白い要素の1つ。
普段のプレイスタイルによってキャラクターのステータスに個性が出るのは分かりやすく情趣のあるシステムであり、自分が目標としているキャラクターを作り上げる作業は何よりも楽しい。

序盤の難易度はかなり低めであるが、最終的にかなり高めの難易度になる。
しかし、この歯ごたえが心地よい。
絶望的な強さの敵でも、攻撃のパターンを覚え、弱点を突くことにより、活路を見出す事が出来る。
また、手も足も出ないような強さの強敵も登場するが、マルチプレイで強力し合う事で、なんとか対峙できるレベルにまで持ち込むことができたりもするため、普段アクションゲームをプレイしないユーザーでも問題なく楽しむ事が出来るようになっているはず。
ここに関しても、バランスは絶妙だ。

そして、演出上なによりも面白いのがラスボスへの挑戦である。
チュートリアルにあたる「魔法使いの試練」という項目を30分ほどプレイをし、本編まで進めると、すぐにラスボスに挑戦できるようになる。
どの段階で挑戦するかはユーザーに託されているため、もしかしたら1時間くらいでクリアーしてしまう猛者も現れるかもしれない。
参考までに自分は、総プレイ時間20時間ほどでメインシナリオをクリアーをし、意気込んでラスボスに挑んだものの あっさりとねじ伏せられた。さらに何度か挑むがその度に
返り討ちに合い、5時間ほどレベル上げに励んだ後、総プレイ時間25時間の段階で ようやくラスボス相手に勝利を収める。
どの段階でもラスボスと戦えるものの、だいたいラスボス勝利は20時間前後のはず。
プレイ時間をどこまで短くできるのか・・・こういうヤリ込みの余地をのこしてくれるのは、ゲーマーとしては嬉しい限り。挑戦状に受けて立ちたい気持ちになる。
ちなみに、メインシナリオをクリアーしてもまだまだヤリ込みの余地が残っている。
破滅的な難易度のミッションも存在するため、実際のところどこまでヤリ込みに耐えられるのかは分からないが、もしかしたら100時間プレイしても全てはクリアーできないやも。
さらに今後、新しい「供物」やマップ。新ボスなども無料でオンライン配信されるそうなので、今後の展開に期待したい。

世界観がおどろおどろしいため、「人を選ぶ」と言えなくもないが、実際にプレイしてみれば、大多数の人が気に入るゲームだと思う。
特に中高生にはドストライクなはずで、普通のハンティングアクションのブームが一段落した今。まさにこのようなゲームを時代が求めていたように感じる。

体験版だけでも結構楽しめるので、まずは体験版を。
最終的には、老若男女全てのユーザーにオススメしたい。

ターニングポイントになったゲームとして、ハンティングアクションの歴史に残る名作であるとともに、全てのジャンルのゲームと比較しても、数年に一度の傑作であるように感じられる。
これのために本体を購入しても元が取れるような、そんな魅力を秘めた満足度の高い逸品。



6角形プロジェクト


PS VITA『ソウルサクリファイス』

SOUL SACRIFICE ソウル・サクリファイス (通常版)

SOUL SACRIFICE ''共闘'' ダブルパック

PlayStation Vita SOUL SACRIFICE PREMIUM EDITION

space