トップ画像1月3日2012年12月21日発売
PS VITA『箱! -OPEN ME-』
ゲームレビュー
親父・正面(にやけ顔)


PS VITAのダウンロードタイトルでこんなのが配信されたの知ってるか?

僕・正面(口あける)


なにこれ?
「箱」? 

親父・横顔(にたっ)


ああ。
『箱! -OPEN ME-』だ。

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僕(へー)


これ、どういうゲームなの?

親父・正面(通常)


これは、VITAについてるカメラを使って実際の風景をリアルタイムに本体に映す。それと同時に画面上にグラフィックを合成する、いわゆるAR技術を使ったゲームだ。
目の前に出て来た箱をとにかく開けるだけのゲームらしいぞ。 

僕・正面(うるうる)


開けるってことはタッチとかフリックとか使って開けていけば良いのかな?
ただ開けるだけのゲーム?それってゲームって言えるの? 

親父・正面(あきれ顔)


俺も詳しくはわからねぇ。
公式HPでも見てみるか。 

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親父・横顔(ほー)


公式HP(リンク)によれば、とにかく出現した箱を開けて行け・・・と描いてあるな。

僕・正面(しら~)


・・・さっきの説明からあんまり情報増えてない・・・。

親父・正面(笑顔)


お。
マルチプレイでも遊べるらしいぞ。
説明には、『協力プレイが楽しめるマルチプレイモードも搭載。友だちと“箱”を通じた“ハコミュニケーション”を体験しよう!』 って書いてある。

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僕(失神)


ゲームの説明の前に、まずこんな可愛い彼女をゲットする方法を教えて欲しい。

親父・横顔(むっつり)


買ってみたら説明書に書いてあるんじゃね?

僕(笑顔)


じゃあ、さっそく購入してプレイしてみよっか!

親父・正面(にやけ顔)


おっと。
このゲームは2種類の購入方法があるんだ。 

親父・横顔(ほー)


まず1つめの購入方法は定価の1500円を払ってダウンロードする方法。
そして2つめの購入方法は、数ステージが入った「ダイジェスト版」を100円で購入した後、定価から100円引かれた1400円のフルバージョンを購入する方法だ。

僕(呆れ笑)


へぇ!
面白い販売方法だね!
最初にお試しとして、まず100円で遊ばせてくれるんだ!

親父・正面(激怒)


地雷回避機能を公式でサポートするメーカー、なかなかないぞ!
グッジョブ! 

僕(しらんぷり)


じゃあ、お言葉に甘えてまず100円でプレイしてみよっか。

親父・正面(呆れ顔)


チキンだなー。
まぁいいか。 

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僕(えーっと・・・)


箱が出て来たよ。
これをどうすればいいの?
何の説明もないんだけど。 

親父・正面(にやけ顔)


まずは、この箱の観察からだ。
どんな風に箱にロックがかかっていて、どんなふうに操作すれば開きそうか、まず外見から見当をつける。 

僕・正面(慎重)


うーん・・・とりあえず連打してみればいいんじゃない?

親父・正面(あきれ顔)


説明書によれば、タッチの回数や思考時間によって評価が変わってくるらしいからな。
おてつきは御法度だぞ。 

僕(むっ)


うーん・・・見てもわからないなぁ~。

親父・正面(ちょっぴり不安)


裏側に回り込んでみればいいんじゃないか?

僕(えー笑)


あ!そっか。
ARなんだもんね。
自分が動けば箱の裏側を見る事ができるのか。 

僕(呆れ笑)


・・・

僕・正面(じと目)


・・・めんどくさい・・・

親父・正面(呆れ顔)


この面倒なステップを楽しむゲームなんだろ。

僕・正面(猫目)


あ!
ここにフックっぽいものがあった! 

僕(むっ)


・・・・・・・・・!

僕(失神)


あいたぁああ!!!

親父・横顔(通常)


なるほどな。
トンチが効いてて面白いじゃねぇか。
一筋縄ではいかないところが面白いぜ。

僕(えー笑)


面白いね!
フルバージョン版を購入してみよッ! 

親父・正面(横目)


こんなに速攻で買うんだったら、最初からフルバージョン買っておけよ・・・。


箱! -OPEN ME-

SCEJが12月20日にPS VITA向けに配信したオンライン配信タイトル『箱! -OPEN ME-』。
価格は通常版が1500円で、その中から3ステージ分だけ切り取られたダイジェスト版が100円。またダイジェスト版を購入したユーザーは、通常版を1400円で購入する事ができる。

本体内蔵のカメラを用いて風景を取り込み、そこに3Dポリゴンを合成する事で仮想現実を作り出すAR技術で、風景に箱を出現させる。その箱を様々な角度から覗き込み、仕掛けを見つけ、画面の仕掛けをタッチやフリックしながら開封していくというパズルゲーム。

ステージ数はダイジェスト版3ステージで、本編は50ステージで構成されており、1つのステージを解くのに短いと2秒。長いと2日かかる。


演出

演出は面白い。

ゲームを起動した瞬間からカメラが起動し、その後ずっと背景を取り込んだままゲームが進行して行く。
机の上でゲームを始めると、タイトルも机の上に表示され、そのままステージを選ぶ事になる。
正直煩わしいが、突然机が折り畳まれ箱が出現する演出は面白い。

しかし、操作性の項目で後述するがメニュー周りがモッサリしていてストレスがかかる。
もしその原因がこのARによる画像取り込みの処理によるものなのであれば、この演出は廃止するべきだったように思う。


オリジナリティ

オリジナリティは非常に高い。

AR技術自体は既存の技術で、それを用いたゲームもPS VITA向けにいくつか存在していた。
しかしながら、どれもARを用いなくてもプレイできるゲームであり、普通のゲームの背景を自分の部屋に交換するだけのクオリティのゲームしか存在しなかった。

しかしながら本作は、しっかりとAR技術の必要性と存在感を示せている。
ただアナログスティックをグリグリ回して視点を切り替えるのではなく、自分の身体を乗り出したり身を引いたりして、体を使って攻略のヒントを探すのはAR技術ならではの楽しみ。
さらに、ヒントが背景に溶け込んでいて見つけにくくなっていたりとAR技術だからこそ楽しめる要素が盛りだくさんになっている。

さらにSONYが開発したスマートAR技術を用いているため、マーカーが必要ない。
もちろんマーカーがあれば初期設定も必要なくスムーズな動きでプレイできるのだが、手元にARマーカーを用意しなくてもプレイする事が可能。
またマーカーがカメラの視界から消えても、問題なく動作する。この技術の完成度の高さには脱帽した。


グラフィック

グラフィックに期待してはならない。

純粋にただ箱が置かれているだけで、とりわけグラフィックが綺麗ということはない。
ただ、箱の材質が何であるとか、箱の角にヒンジが取り付けてあるなどの攻略のヒントが画面上から読み取れるというのは、PS VITAならではといったところ。

ただ残念なのは、
もう少しカメラの解像度が良ければ嬉しかった。
本体のカメラの性能に依存する部分が大きいので何とも言えないが、箱はクッキリ映されているのに背景は少し霧がかかったようにボヤけてしまう所に違和感を感じた。


サウンド

サウンドは可もなく不可もなく。
メニューではやたらとハイテンションな曲がかかり、悪くはない。

サウンドとはあまり関係ないが、箱の叩く場所に酔って微妙に音が違いヒントを見つける打音検査のような仕組みは面白かった。


操作性

操作性は悪い。
このゲーム全体の足を引っ張っているのが操作性である。

本作は、全編タッチで操作することになり、ボタンを使用するのはマーカーの再認識の時くらい。
個人的には補助としてボタンでも操作できるようにしてほしかった。

そして、とにかく終始モッサリした操作性になってしまっている。
ボタンを押した際にもワンテンポ遅れて反応するのが気になり、何度も押してしまうことも多々。
メニューの配置やアイコンも分かりにくい物が多く、誤選択を起こしやすい。さらに戻るときに待たされ反応してないのかと思いもう一度タッチすると誤操作につながるというイライラスパイラル。
これは改善の余地があるように感じた。
せめてタッチした瞬間「ピローン!」などというド派手な効果音一つ入れるだけで安心感が違った気がする。

ロード時間は数秒程度だが、1つのマップが短いと2秒で終わるマップがあるテンポの良いゲームなのにもかかわらず、ロードで数秒待たされるというのはバランスが悪い。
やはり全体を通してサクサク具合が求められる。


満足度

満足度は悪くない。

ただ「箱を開ける」という単純な動詞を核にした、シンプルで新しいゲームデザインになっており好印象。
箱を開けるという目的は同じなのにも関わらず、ステージによって全く違う視点や思考回路を必要とされるのが面白く、好奇心を揺さぶる。
たまにアクション性が求められることで、良い意味でリズムが崩れて面白い。

解くまでにかかった時間タッチの回数でステージ評価が決まるのだが、時間制限などはなく、難解な箱でも総当たりをしていけばなんとかなるように仕上っているのも嬉しい。
また、年齢別に正答率が表示されるのも面白い仕組みで、同年代のほとんどの人が解けている問題なのに自分は解けない箱に出会うと純粋に凹む。半泣きになりながら総当たりでタッチしまくるのも、また一興。

マルチプレイも非常に面白い。
自分がボタンを押している間に背面に表示されるパスワードを相手読んでもらう・・・など、2人協力して攻略しなければならない箱がいくつか用意されており、結構白熱する。

しかし、コンセプト勝負のゲームなためなのか、ゲーム本編以外の点で少し粗さが目立つ。
粗さも味でとしてエッジの尖ったゲームデザインに仕上ればそれはそれで良いのだが、本作の粗さはどこか怠慢気味。
先述した操作性の悪さについてもそうだし、ダイジェスト版を購入た後 通常版を購入するると、ダイジェスト版のアイコンが残ってしまう点も気になった。ダイジェスト版と通常版が独立しているため、結果2回チュートリアルを受ける事になり煩わしさを感じる。
細かい点ではあるが、
2度うけなければならないチュートリアルやロード時間の長さ。操作性などはユーザーのストレスに直結するデリケートな部分なので、丁寧に作り込んでほしかった。

粗さは目立つものの、ゲーム自体は斬新で面白い。
ある程度の我慢は必要ではあるが、ゲームそのものは素晴らしい。


総評

ブラッシュアップの必要性は感じたが、コンセプトは面白く、新しい技術にワクワクする仕上がりとなっている。

ただ本作は、カメラ・ジャイロセンサー・タッチパネルが搭載されたスマートフォンでも再現可能なはず。そう考えるととたんにワクワク感や先進技術の先取り感が薄らいでしまうのが問題。
本来なら比較対象は他のコンシューマーゲームのはずだが、オンライン配信タイトルであることや、本作の操作性を全てタッチパネルにしたことも相まって、本作の比較対象はどうしてもスマートフォンアプリの方に行ってしまう。
そうなると、この1500円という価格設定は少し高く感じてきて、さらに適正価格は1000円が限界だったのではないかと思うようになってしまう。

最終的な販売価格は置いておいて、今回の配信方法は面白いチャレンジだと感じた。
序盤だけ遊べる体験版を配信するのではなく、本編から面白いマップを何マップか選んだダイジェスト版を100円で遊ばせてくれる。面白かったら差額を払うだけで続きを遊ばせてくれるというシステムは、ほとんどの人が悪い気はしないはず。
特に本作はパズルゲームであるがため向き不向きがあり、このような形の配信方法は向いているように思えた。
もしかしたら、今後メジャーになっていく配信方法の1つになるかもしれない。

難易度の設定は良い。
見たまんま箱を開ければクリアーとなるような2秒でも終わるマップもあれば、かなりの洞察力とアイデアが必要になる箱も存在したりと。歯ごたえは十分。
先述したように総当たりでもなんとかなるため、難解すぎて詰むようなことはなく、自然に任せたレベル設定に好印象を覚えた。


本作は新しい技術によって産まれた、新しい切り口の、新しいパズルゲーム。
恐らく本作が初めて
AR技術を取り込む事に成功したゲームにであり、そういう意味で存在意義は非常に高い。
少し値は張るものの、ステージ数は結構用意されており、オンラインでは新しい箱が配信されているため、この金額を出して買う価値はある。
これを踏み台にした次の作品にも期待したい、意欲的な良作。


6角形プロジェクト