トップ画像3月21日2012年3月15日発売
PS3『風ノ旅ビト』
ゲームレビュー
親父・正面(笑顔)


今回は『風ノ旅ビト』のレビューでもするか!

僕(普通)


PS3向けに3月15日に配信されたダウンロード専用タイトルだね!
1200円で買えるんだっけ? 

親父・正面(通常)


ぴーん、ぽーん、ぱーん、ぽーん。
ここでお知らせです。 

親父・横顔(ほー)


鋼鉄親子のレビューは、毎回なるべくネタバレしないように書いています。
・・・が、多少はネタバレしないとレビューできないのも事実。
今回も、いつも通り多少内容に触れてレビューを書こうと思う。

親父・正面(乱心)


・・・が!!!
このゲームに関しては、所見でプレイに意義があって、 情報を少しでも入れてしまうと、その分 感動を損なう可能性があると判断した!

親父・横顔(むっ)


ので、既に『風ノ旅ビト』を購入予定の人は、このレビューを見ずに閉じる事をオススメしておく!

僕・正面(しら~)


・・・え"。
購入するかどうか迷ってる人が見るのが「レビュー」なんじゃないの? 

親父・正面(笑顔)


細かい事は気にするな。
早速プレイしようぜ! 

僕・正面(口あける)


これ、何するゲーム?

親父・正面(通常)


さぁー。

僕・正面(慎重)


これ、どうやって操作するの?

親父・正面(通常)


さぁー。

僕・正面(え~・・・っと)


・・・ようは、何にも分かってないのね。

親父・横顔(通常)


とりあえず、道なりに進んでみればいいんじゃね?

僕・正面(ぬぎゅー)


一面砂漠だらけで、その「道」すらないんだけどね。

011
僕・正面(うるうる)


あ。
なんか、ジャンプできるようになった! 

親父・横顔(通常)


アイテムを取得すると、後頭部についてる布の長さが伸びて・・・。
あれを伸ばせば伸ばすほど、ジャンプ力が増すようだな。

僕(えー笑)


なるほどねー。
文字での説明は ほとんどないし、 キャラクターも一言もしゃべらないけど・・・
なんとなーくビジュアルで分かるようになってるのは凄いね! 

僕・正面(口あける)


あの場所に行きたいなぁ〜。
あ、でもジャンプできないや。 

親父・正面(通常)


持っているジャンプのためのパワーを使い果たすと、アイテムを取得して回復するまで、次のジャンプは出来ないようだな。

僕・正面(ほえ?)


ジャンプに制限があるのかぁ・・・斬新!
ジャンプのパワーなんて、ほとんど1回で使い切っちゃうし・・・マリオだったら2匹目のクリボーで死亡だね。 

僕(むっ)


ジャンプして丘の上に行けば、たぶんシナリオが進むんだと思うんだけどなぁ・・・
回復しに戻らなきゃ・・・ 

僕・正面(え!?)


・・・あ!
なんか、もう1人のキャラが勝手に丘の上に行って動かした!! 

008
親父・正面(にやけ顔)


よかったじゃねぇか。
次のステージに進めたようじゃねぇか。 

僕(悲しむ)


・・・でも、なんか自分でプレイした気がしないなぁ・・・。

僕(えーっと・・・)


あ!
また、どんどん先に行って、僕の見えないところで物語を進めて行く!!
なにこの、嫌がらせCOMは!! 

親父・正面(ちょっぴり不安)


・・・。

僕・正面(死に顔)


くそー・・・こうなったら、僕が先回りして、全部進めてやる・・・。

僕(失神)


じゃまだ!
じゃまだ、えい! 

僕(えー笑)


やったー。
このマップ、全部僕が先に謎解いちゃったー。 

親父・正面(目細く)


・・・どうやら、それ。
AIじゃなくて、生身の人間らしいぞ。 

僕・正面(おい!)


・・・え"!?



【風ノ旅ビト】

SCEから2012年3月15日にPS3向けに発売された『風ノ旅ビト』。
ダウロード専用タイトルで、価格は1200円。
開発は『flOw』や『Flowery』なんかを手がけたアメリカのデベロッパthatgamecompanyで、アメリカでの題名は「Journey」。「風ノ旅ビト」は邦題にあたる。

ゲームが始まると、ただ砂漠に自分の分身である旅人がいる。
ユーザーは何も説明されないまま ただ歩いて行きプレイを進めることになる。

主人公が死ぬ事は無く、ゲームオーバーも存在しない。一応敵は出てくるものの、攻撃を受けてもペナルティがあるだけで死なない。


演出

演出は素晴らしい。

キャラクターは一言も言葉を話さず、ゲーム中 物語を説明するための文字も一切出てこない。
しかしシナリオはしっかりと存在しており、ヒエログリフような象形文字や絵によって物語を表現している。
物語の解釈はユーザーに丸投げ。
そのため、プレイヤー1人1人が違う物語を想像し、違う感想を持つはず。このゲームがハッピーエンドかバットエンドかすら、人によって捉え方は違うはずである。

自分は、この物語に人生の縮図のような哲学的な思いを持った。
おそらく、これは輪廻の概念であるという人もいれば、進化しすぎた人類への警鐘である・・・と考える人もいるはずである。
プレイをする人によって、様々な捉え方が出来るシナリオというのは、他のゲームではなかなかお目にかかる事ができない。


操作性

操作自体は普通。

本作では、画面上にゲージ類が一切表示されない。
またゲームを通して、ほとんど操作の説明がない。

序盤。コントローラーの絵が表示されて、ジャンプの仕方やカメラの視点の切り替えの方法を教えてくれるが、文字が出てくるのはそれっきりで、その後は一切出てこない。
どこに行けば良いのか、どういうふうに切り抜ければ良いのか、何をするのかなどは、すべてユーザーが考える必要がある。

しかし一見丸投げしているように見えて、実は親切。
自然とユーザーが操作を覚えられるように様々な工夫がされており、操作に困ってドン詰まることは、ほとんどないはず。

使うボタンの数は極めて少ない。
左スティックで移動。右スティックでカメラ。
×ボタンでジャンプ。
◯ボタンで共鳴となっている。

×ボタンでのジャンプは、滞空時間が決まっている。
キャラクターの後頭部にある布の長さがジャンプの滞空時間を表しており、
光るアイテムを取得すると布が伸びる
ジャンプをするためにはパワーが必要で、残りのパワーがどれだけあるかは、後頭部の布がどれだけ光っているかで判断することができる。一度使ったパワーは回復せず、マップ上に点在する布を触って回復するまでジャンプすることができない。

◯ボタンでの共鳴は、様々な使い道がある。
怪しいと思う場所で共鳴すると壁画が現れたり、布でできた鳥のようなキャラクターを呼び寄せるのにも使える。
後述するオンライン相手と唯一コミュニケートが取れる手段でもある。

カメラは右スティックで操作できるほか、コントローラーの傾きセンサー「SIXAXIS」でも操作する事が可能。
しかし、これは不要に感じた。
おそらくデベロッパーthatgamecompanyが手がけた2作品「flOw」「Flowery」が、傾きセンサーでの操作をウリにしていたため、その名残なのだと思うが、寝転がりながらプレイするとカメラが変な方向に行ってしまう。
カメラの操作は右スティックでも出来るため、不要に感じた。

本作はシームレスではなく、広いマップがいくつか繋がったような作りにっている。
新しいマップに入る時、ホワイトアウトしてロードとセーブが同時に行われるが、ロード時間は2、3秒で非常に短い。
それゆえ、マップのつながりはほとんど気にならない。


オリジナリティ

オリジナリティ要素自体は乏しいように感じたが、このようなゲームは今まで触った事がない。

キャラクターが全く言葉を話さない点や、グラフィックの雰囲気が近い事から「ICO」や「ワンダと巨像」と似ていると思われがちだが、実際にプレイしてみると全く別もの。
ゲーム性を重視しているICO・ワンダに対し、本作はゲーム的な面白さはほとんどない。ただ、ICO・ワンダよりも手触りは良く、
本作の方がシナリオの解釈もユーザーにバラつきがあるはず。

このゲームを究極に簡素化すれば、敵が出ず、落ちる穴の無い。ただ左から右に進むマリオ。
それゆえオリジナル要素には乏しいが、唯一他のゲームと大きな違いがあるとすればオンライン要素である。

本作は、序盤1人ぼっちだが、途中まで進めるともう1人現れる。
最初は、通りすがりかと思うが、目指す方向は一緒らしい。
勝手に謎を解かれたり、勝手にどこかに行ってしまったりと、イライラすることも多々あったが、こちらが迷子になったら迎えに来てくれたり、崖から落ちてもう一度長い道のりを戻らなきゃ行けなくなった時、落ちた場所で待っていてくれたりする。
やたらと賢いAIだと関心していたが、最後になってこれがオンラインでの対人プレイであることに気がつき、ちょっとウルッってなった。

これは、個人的に体験した出来事だが、なんの前情報もなくプレイした人は、おそらく同じような体験をしたはず。
最初はうっとうしかったパートナーが、徐々に頼れる存在になってきて、最後は彼がいないと先に進みたくなくなる。

最後の最後まで、どこの誰とプレイしているのか分からず、感謝の言葉を伝えようにも、伝える手段は存在しない。
唯一とれるコミュニケーション手段は、◯ボタンでによる共鳴と、体を寄せ合う事でジャンプのパワーが回復するという仕様。

このオンラインによるユルい繋がりは心地よく、相手の温もりを感じられる。
ジャスチャーや、コマンドチャット。ボイスチャットなど、相手とのコミュニケーション手段をどんどん増やして行く現在の風潮とは逆行しているが、あえてコミュニケーション手段を極端に減らす事によって、相手の人間性を感じさせてくれる。この相手との絶妙な距離感は、オンラインプレイの新しいありかたを提唱してくれたような気がした。


グラフィック

グラフィックは極めて良い。
このゲームの最も素晴らしい要素の1つは、圧倒的なグラフィックによる、芸術的なビジュアルである。

砂や雪の表現は目を見張るものがあり、まるで現実そのもの。
これらの表現に関しては、ノーティドッグが毎回PS3の限界に挑戦している「アンチャーテッド」シリーズをも上回る出来映え。

リアルではあるが、リアリズムとは全く別の世界観になっている。

とりわけ素晴らしいのが空気。
空気の表現が徹底されており、砂漠の場所では暑くカラっと乾燥していそうな空気。地下ではヒンやりと冷えているような空気。雪山では凍えるような空気が完璧に表現されており、マップによって変わる空気の違いを表現できているのが素晴らしい。


サウンド

サウンドは控えめだが、良い。

本作は、弦楽器によるBGMが鳴っているが、かなり控えめ。
環境音のみの場面も多く、意識しないと鳴っているのか鳴っていないのかも分からない程度。

しかし、世界観を作る上で大きく貢献しており、その完成度は極めて高い。

ユーザーの行動によって楽曲のスピードを変化させたり、着地に合わせて打楽器を入れたりと、ユーザーは主人公の他に、知らないうちに音楽も操作することになる。
そのためプレイと音楽の親和性が極めて高く、耳に残る楽曲ではないが、心に響く音楽に仕上がっているように感じた。


満足度

満足度は高いが、本作の評価は間違いなく分かれる。

ゲームらしい要素は極限まで省かれており、ゲームオーバーもなければ、敵もほとんど出てこない。
ゲームバランスという物はそもそも存在せず、誰でも100%クリアーする事が出来てしまう。

本作はマップが広く様々な見るべき場所が存在するが、進むべき道自体は一本道で一方通行。
テクニックらしいテクニックもそこまで存在せず、行えるアクションは基本ジャンプだけ。ゲーム性には乏しい。

しかしプレイしていて、とにかく気持ちがよい。
特に緩急の付け方が素晴らしく、序盤。砂に足を取られてなかなか進めないが、ジャンプを覚え、どんどん滞空時間が増えて行くと、気持ちよくプレイする事が出来る。
また、ジャンプの制約でなかなか進めないマップがあるのに対し、所々 スキーのような気持ちのいいマップを用意してくれたり、ジャンプし放題のマップを用意あるのも◎

非常に手触りの良い作品に仕上っているものの、このゲームのどこが面白いのか?と聞かれると、やはり答えに困ってしまう。

このゲームは、絵画のようなゲームよりも、ゲームのような絵画に近いように感じた。
雰囲気を楽しむ作品であり、その作品から何を感じるのかはユーザーにゆだねられている。
ゲーム性を求めているユーザーの評価は低くなってしまうかもしれない。


総評

賛否が分かれるゲームだと思うが、おそらく大半の人は何かしら感動を受けるはず。

最近、映画や小説。アニメなどような受動的なゲームが多かったのに対し、本作は絵画や音楽のような能動的なゲームに仕上がっている。
美術館巡りこそが人生の生き甲斐な人もいれば、絵を見ても一銭にもならないと思う人もいるように、本作も絶賛する人がいる一方、間違いなく退屈に感じる人も多くいるはず。
小学生にプレイさせたら、最低の評価を受ける可能性もある。
しかしながら、個人的には絶賛したい。

本作は、自分でどのようにプレイするのか学び、ゲームの抽象的なメッセージを受け止め、考える必要がある。それゆえ様々な解釈や感想が飛び交うはず。それが良い。
用意されたシナリオの出し方などを友達と話し合うのではなく、シナリオそのもの解釈を友達と話し合うというのは、非常に新鮮で今までのゲームでは体験できなかったこと。
またオンラインでの緩い繋がりも、人間の温もりを感じられる、すばらしい体験になった。

プレイ時間は初回は2時間前後。
慣れてくると1時間強で終わるはず。
短いプレイ時間ではある物の、クリアーする何日も何ヶ月も旅したかのような、そんな大冒険した気分を味わえる。

本作は、スコアなどが存在しないのに、なぜか中毒性がある。トロフィー目的以外では周回プレイする必要はないのだが、またあの風景が見たくなってしまう。
また余談ではあるが、2周目以降はステージセレクトが出来る。
文字を使わず、世界観を崩さず、ステージセレクトが出来る仕様に感動した。

間違いなく人を選ぶものの、クオリティが高い割には
1200円と値段もお手頃なので、買おうか迷っていたら買った方がベター。
物語が分かりにくいため、クリアーした時の達成感はそこまで高くはないので、スカっとしたプレイを楽しみたい人には不向きだが、夜景や花火を見て「綺麗」と思える人は、買っても絶対に損はしないはず。

老若男女、とにかくまずは触ってみて欲しい。
そう思える、挑戦的な至高の逸品。

6角形プロジェクト