トップ画像9月1日999
2011年9月22日発売
PS3
「ワンダと巨像(HDリマスター版)」
ゲームレビュー
親父・横顔(通常)


これやろうぜ!
これ!! 

僕(えー笑)


「ワンダと巨像」だ!
HDリマスターされて、PS3で発売されたやつだね! 

親父・正面(にやけ顔)


おう。
今回はこれのレビューだ。 

僕(しらんぷり)


まぁ、オリジナル版のPS2が、そもそもレビューするまでもなく名作だったけど。

親父・横顔(にたっ)


今回は、どのくらいの移植度なのか・・・そこんところが注目だな。

僕・正面(うるうる)


起動は速いね。

親父・正面(通常)


データのインストールもないんだな。
お。始まったぞ。 

僕(呆れ笑)


あ〜!この懐かしい!
こんな感じだった!こんな感じだった! 
天の声に導かれて、巨人を倒しにいくんだよね〜。 

親父・横顔(通常)


じゃ、とりあえず俺がプレイするか。
まず・・・どうするんだっけ? 

僕・正面(通常)


まずは、神殿の出口から直進して、崖を上ったところに巨人が1匹いたはず!

親父・正面(あきれる)


う・・・やべぇな。馬の操作が慣れてねぇ。 

僕(むっ)


「レッド・デッド・リデンプション」に慣れ過ぎだって・・・
あれは連打で走ったけど、こっちのゲームはタイミングが重要だよ。

親父・正面(呆れ顔)


くそ・・・あれだけヤリ込んだのにな。
しばらく操作してないと、あっという間に下手になるぞ・・・このゲーム。

僕・正面(猫目)


おお!
巨人とご対面!! 

親父・横顔(疑い)


相変わらず デけぇな・・・倒せる気がしねぇ。
HDになって、ちょっとデカくなってるんじゃね? 
このサイズなら、負けても別に恥ずかしくはないな・・・うん。 

僕・正面(しら~)


いや、ないから。
なに、負けた時の保険を自分にかけてるのさ。

僕(普通)まずは弱点を見つけて、そこに よじ登って攻撃するんだよね。
たしか、こいつの弱点は アキレス腱と頭頂部のはずだよ!
アキレス腱を攻撃すると、体勢を崩して片膝つくから、あとは一気に頭頂部に登れるはず! 
親父・正面(笑顔)


おう!
百も承知だ!
もう、既に背中の所にまで登って来てるぞ! 

僕(えーっと・・・)


あわわわ!!
振りほどかれそう! 

親父・横顔(むっ)


大丈夫だ。
まだ十分に握力がある。 

親父・正面(乱心)


よし、頭頂部!!

僕・正面(コラ!)


今!今!
突き刺して!! 

親父・正面(メガネ破損)


そんなこと言われんでも分かってるよ!
それが出来たら苦労しねー! 

親父・横顔(通常)


よし!
あと一撃!あと一撃だぜ! 

   ・
   ・
   ・
僕(えー)


・・・「あと一撃」って言ってから倒し終わるまで5分かかったね。
どんだけチキンなのか・・・もう、一思いにやっちゃえば良かったのに・・・。 

親父・横顔(泣き)


「あと一撃」ってところからクリアーまで、もっとも時間のかかるゲームのうちの1つだよな・・・これ。





【ワンダと巨像】

2011年9月22日にSCEJからPS3向けに発売されたアクションゲーム「ワンダと巨像」。
本作は、2005年にPS2向けに発売された「ワンダと巨像」発売されたHDリマスター版で、同じくHDリマスターされ発売された「ICO」と同時発売になっている。ソフト単品では3980円で、「ICO」とセットになった「ICO/ワンダと巨像 Limited BOX」は6980円で発売されている。
「ICO」と「ワンダと巨像」はSCEJの上田文人率いるICOチームが手がけており、2012年にはICOチーム最新作「人喰いの大鷹トリコ」が発売予定。

本作の目的は巨像を倒すのみ。
まず、広大なフィールドの中から巨人を発見する。次に巨人の弱点を突き止める。そして巨人の体をよじ登り、しがみつき、巨人の弱点めがけて剣を差し込む。
基本的にこれの繰り返しである。


演出

演出に関しては完璧。文句の付けようがない。
「このゲームのどこが凄い?」と聞かれれば、まず一言めに出てくるのは「演出」という答え。身震いするほどの完成度を誇る。

まず素晴らしいのが、独特でありながら説得力のある世界観。
舞台は異世界で、銃などはなく、剣と弓のみの武器しかない中世のような設定。ただ、現実世界とはかけ離れた世界観で、魔法こそないものの、完全にファンタジーである。
しかし、ファンタジーなのにも関わらず、妙に世界観に説得力を感じる。まるで、ユーザーは ずっと昔からその世界を知っているかのような錯覚に陥る。丹念にゲームの世界観を説明することもせず、現実世界とかけ離れた世界観なのにも関わらず、だ。
ゲームを通して その全貌について多くは語られていない。故に、プレイを進めていくうちにユーザーが世界観を補完させるのではないかと自分は考えているが、その真偽は定かではない。
こんな感じに、興奮して文章が臭くなるくらい、世界観が素晴らしい。
世界観の源となっているのは、音楽と映像、カメラワークなど多岐にわたるが、その一つ一つの評価については後述。

ゲームは常に異国後+日本語字幕で展開。字幕のON/OFFは行うことが出来ない。

シナリオは多くは語られない。
ゲームが開始されると、まず青年が女性を抱えて馬に股がり 神殿に入るところから始まる。その死んだ女性を生き返らせるために、主人公が巨人を倒すというのが本作の目的である。
女性について語られるのは名前だけで、具体的な関係が語られることはない。しかし行動から、その女性が大切な人であることを ユーザーが察することが出来るように作られている。
ゲーム中、一瞬しか触れていない彼女を助けることが、プレイの最後までユーザーの心に目標として認識させ続けられている。ユーザーの心理を徹底して研究しているのが本作の特徴でもある。


オリジナリティ

独特な世界観・完成度の高いアクション・「しがみつく」という新しい動詞。オリジナリティは相当高い。
しかし、PS2のオリジナル版が発売されてから かなりの年月になっているのにも関わらず、パクリはおろか、一部真似をしようとした作品すら存在しない。しかしながら、その後のゲームに残した影響は計り知れない、オンリーワンの作品になっている。


グラフィック

グラフィックは、1本のPS3タイトルとして見ると かなりしんどいが、HDリマスターということを前提に語れば 美しい。

PS2のポリゴンやテクスチャーを生かしたまま、HD画面にも耐えられるようアップコンバートしたものであるため、ポリゴンの角が目立ち、また今の時代だとあまり使われてない短いサイクルでのテクスチャーの使い回しが目立つ。
また、ノーマルマップなども使用されてないため、全てのポリゴンがぬぺーっとしてしまっている。
こういった特徴から、このタイトルがHDリマスターのタイトルであるということを知らずに買ってしまったユーザーは、グラフィックが「汚い」と言い放つかもしれない。

しかしながら、オリジナル版をプレイしたユーザーがプレイすると、そのグラフィックの美しさに驚くはず。
ポリゴンにほとんどギャジがなく、オリジナル版に比べ純粋に美しくなっている。また巨像の毛のモシャモシャ感は身震いするほど。「あー、今つかんでる!」ということがよくわかる。

なによりも凄いのが空気や霧などを表現しているフィルター。
HDリマスターにしたことにより もっとパリッとしたビジュアルになり、視野がはっきりして世界観が変わるかと思えば、オリジナル版とかわらない温もりのある手触りに仕上がっている。
「今、湿度が高くてなんか息苦しい」とか「洞窟を抜けたら急に空気が澄んだ」とか、画面上を通して空気感までヒシヒシと伝わってくる。

カメラワークには癖がある。
これは賛否両論だと思うが、カメラに自由があまりない。
常にユーザーのお尻を追い続けるタイプのカメラとは違い、見せたい方向にカメラの位置が自動で変化していく。
ユーザーの都合でカメラを自由に動かせないため イライラする部分も多々あるが、カメラを場面場面で半固定することによって、ある時はスピード感を演出したり、ある時は開放感を演出したりと、ユーザーの気分を見事に操っている。


サウンド

サウンドは衝撃的。
ゲームを通してクオリティの高い音楽。 フルオーケストラが奏でる音楽は、耳に残る音楽ではないものの、戦闘音などは聞いているだけで手から汗が出るほど。
なにより驚くのが、巨人を倒した瞬間。 巨人を倒す瞬間に、悲壮感漂う音楽が流れ、ユーザーは達成感とともに罪悪感や、儚さを感じる。 当時のゲームのキャッチコピーである「最後の一撃は、せつない。」は、本物。


操作性

操作性はオリジナル版と変わらないが、逆にもう少し変えて欲しいと感じた。
お世辞でも良いとは言いがたい。

まず違和感を感じるのは、先述したカメラワーク。
これは、演出面で大きな役割を果たしているので、オリジナル版からの修正は極めて難しいと思うが、やはりプレイをするとストレスを感じてしまう。

メニュー周りはオリジナル版に比べて改善されているところも一部あるのだが、前時代的なセーブ画面が少々チープ。
オリジナル版を横に引き延ばしたようなフォントで「セーブ1」と書かれてしまうと、ゲームへの没頭に水を差されてしまう感がある。

ボタン配置は 改善の余地があったように感じた。
しっかりと考えられてボタン配置が行われているため、オリジナル版からのファンはもちろん。新規ユーザーも慣れればコントローラーを通じて主人公と一体となっている感覚でプレイすることができる。
しかしながら、現在の主流のボタン配置と大きく異なっているため、新規ユーザーは違和感を感じやすいはず。(キーコンフィングは搭載)
難解な操作で奥深いと言えば聞こえが良いが、改善すべきポイントであることには変わりない。


満足度

満足度は極めて高い。

改善すべき点は多々あれど、それを変えてしまってはワンダがワンダでなくなってしまう可能性もある。
オリジナル版から手を加えるのはグラフィックと音楽のみに絞り、ゲームの根幹に関わる部分には全く手を加えなかったのは英断だと感じた。

ちなみに、トロフィーに対応しているため新しい遊びが全く提供されていない という訳ではない。
このトロフィーの解放条件も結構秀逸で楽しめる。
巨像を倒すごとに1つずつトロフィーが獲得できるため テンポ良く解放できて気持ちがいいが、プラチナトロフィーを目指すとなると、かなり条件はシビア。
また「魚に30秒つかまる」とか「取りに捕まり空を飛ぶ」などいった、前作では 人への自慢専用要素であった演出も、トロフィーとして評価されると結構嬉しい。

なによりも、リアルに手にあせ握るほど熱中するゲームデザインは素晴らしい。
「よじ登って巨像を倒す」と一言に言えど、巨像の体の構造や攻撃パターンは様々。地形を上手に利用しないと倒せない敵もいたりと、ワクワクが止まらない。

ゲームデザインに関して不満なところはほとんどないが、やはり単調なところは否めない。
神殿から巨像へ向かい、巨像を倒し、また神殿に戻る。
熱中して一気にプレイし終わってしまうタイプのゲームではあるが、ふと我に返ると「自分は何をやっているのだ。」と自問自答したくなる。
でも、そこがまた楽しい。


総評

本作はまず、何も変わっていないということを評価したい。
オリジナル版と比べて、シナリオ、世界観、操作感、手触りにいたるまで忠実に再現。SD画質であるオリジナル版から、HD機であるPS3にしっかりと昇華させている。
これは予想以上に大変なはず。
オリジナルファンが納得のいく作品になっていて良かった。

しかし、それが故に 悪い点も目立ってしまっている。
とりわけ操作感に関しては、6年前とはトレンドが大きく異なっており、最近のゲームをやり慣れてしまうと、直感的に操作できるようになるまでには少々時間がかかってしまう。
操作性をそのままにしていれば新規ユーザーから不満の声が。新規ユーザーのために操作性を変えてしまうと、オリジナルファンから「これじゃない」との声が。
解決のないジレンマに陥るが、1本のタイトルとして発売するならば なんとか解決して欲しかったところ。

とはいえ完成度の高い作品。
ユーザー満足度はかなり高いはず。

本作を買う上で、注意したい点は「HDリマスターである」という点。
もとはPS2の作品で、その時代はこういう操作方法も主流としてあり、PS2のポリゴン数はこの程度で・・・と、ある程度ユーザー側から作品に擦り寄る心構えでないと、「PS3の新作を遊ぶぞ!」という意気込みでプレイすると、イメージしているものと違った作品と思ってしまうかもしれない。

HDリマスターとしての評価は非常に高い。
あの名作が、このクオリティでよみがえり、3980円で買うことが出来ると思うと、かなりお得。
6年も経てば内容はほとんど忘れていると思うので、オリジナルのファンだった人はプレイをオススメ。あの感動の記憶をそのままに、もう一度 感動を味わうことが出来る。
今までワンダをプレイしたことのなかった人でも、このタイトルはオススメ。少し慣れない操作性にイライラする部分もあるかもしれないが、6年前のゲームとは思えない、今までにない新しい体験ができるはず。「人喰いの大鷹トリコ」などに興味のある人は、発売前に「ICO」「ワンダ」の2部作の世界観を一度振り返ってみるといいかも。




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